発達検査の結果を踏まえて、「障害者手帳を取得したほうがいいのか」という悩みに直面する保護者もいます。手帳には複数の種類があり、対象が異なります。ここでは発達特性のある子に関係することが多い2つの手帳を整理します。
療育手帳とは
療育手帳とは、知的障害のある人(子ども・大人とも)に交付される手帳です。
**知っておきたいポイントとして、療育手帳は全国共通の「法律」に基づく制度ではありません。**厚生省(当時)の通知(昭和48年)を根拠に、各都道府県・指定都市が判定基準や運用方法を独自に定めて実施しています(厚生労働省)。そのため、等級の区分方法や名称(「療育手帳」「愛の手帳」「愛護手帳」など)が自治体によって異なります。
- 対象:知的障害があると判定された人
- 等級:多くの自治体で「重度(A)」「中軽度(B)」の2区分、細分化している自治体もある
- 取得方法:児童相談所や知的障害者更生相談所等での判定を受け、都道府県等に申請
精神障害者保健福祉手帳とは
**精神障害者保健福祉手帳とは、精神障害の状態にあり、日常生活や社会生活に長期にわたる制約がある人に交付される手帳です。**療育手帳とは異なり、厚生労働省の全国共通の実施要領(精神保健福祉法に基づく通知)に基づいて運用されています。
統合失調症やうつ病などの気分障害だけでなく、自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害といった発達障害も対象に含まれます。
- 対象:発達障害を含む精神障害全般
- 等級:1級〜3級(精神疾患の状態と、日常生活・社会生活の制約の程度から総合的に判定)
- 取得方法:精神疾患による初診日から原則6ヶ月以上経過してから、医師の診断書等を添えて申請
発達障害の場合、どちらが対象になるか
- 知的障害を伴わない発達障害(例:知的な遅れのないASD、ADHD): 精神障害者保健福祉手帳が対象になり得ます
- 知的障害を伴う発達障害: 療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の両方を申請できる場合があります
どちらが適しているか、両方取得できるかは個々の状態によって異なるため、まずは自治体の障害福祉窓口や医療機関に相談することをおすすめします。
手帳を持つことで得られる支援の例
自治体や事業者によって内容は異なりますが、一般的に次のようなカテゴリーの優遇・支援が用意されています。
- 税制上の優遇(所得税・住民税の障害者控除など)
- 公共交通機関の運賃割引
- 公共施設の利用料減免
- 障害福祉サービスの利用
- NHK受信料の減免(世帯の状況による)
**具体的な割引率や条件は提供元によって大きく異なるため、この記事では金額を示していません。**手帳を取得したら、自治体の窓口で利用できる支援の一覧を確認することをおすすめします。
学校での学びの場については特別支援学級とは?、発達障害者支援の枠組み全体は発達障害者支援法とは?、経済的な手当については特別児童扶養手当とは?もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 手帳を取得すると、周囲に障害があることが知られてしまいますか?
手帳の所持は本人・保護者の申告がない限り、学校や職場に自動的に知らされるものではありません。利用する場面(割引の提示など)以外で、開示するかどうかは本人・保護者の判断に委ねられます。
Q. 療育手帳の等級区分が自治体によって違うのはなぜですか?
療育手帳が法律ではなく自治体ごとの通知・運用に基づく制度だからです。引っ越しをすると、判定基準の違いにより等級の見え方が変わることもあるため、転居の際は事前に転居先の自治体に確認することをおすすめします。
Q. 手帳を取得すると不利益はありますか?
制度上、手帳の取得自体が直接の不利益につながるものではありません。判断に迷う場合は、取得した後どのような支援が受けられるかを具体的に確認したうえで検討することができます。
相談先
- 学校での学びの場は特別支援学級とは?
- 発達障害者支援の枠組みは発達障害者支援法とは?
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