学校に行けない理由が、いじめや学習面の悩みではなく「家族の世話で手一杯だから」というケースがあります。そうした子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれ、令和6年(2024年)に法律上初めて明確な支援対象として位置づけられました。
ヤングケアラーとは
ヤングケアラーとは、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者のことです(こども家庭庁)。具体的には、次のような状況が挙げられます。
- 病気や障害のある家族の介護・見守り
- 幼いきょうだいの世話や送り迎え
- 家計を支えるための労働
- 日本語が第一言語でない家族のための通訳
「お手伝い」の範囲を超え、年齢や成長の度合いに見合わない責任や負担を、日常的に負っている状態が特徴です。
2024年の法改正で何が変わったか
**令和6年(2024年)6月、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」により、子ども・若者育成支援推進法が改正され、ヤングケアラーが法律上初めて明記されました。**この改正により、ヤングケアラーは「国・地方公共団体等が支援に努めるべき対象」として、法律上正式に位置づけられました(こども家庭庁)。
それまでは法律上の定義がなく、支援は自治体ごとの取り組みに委ねられていましたが、この改正により、国としての支援の方向性が明確になりました。
国・自治体が進めている支援
- 早期発見の体制づくり。 学校や地域の関係機関が「気づく」ための啓発ツールやポスターの活用が進められています。
- 多機関連携。 福祉・介護・医療・就労・教育の各分野が連携して支援する体制づくりが進められています。
- 実態把握と支援ガイドラインの策定。 継続的な調査研究をもとに、支援の指針づくりが進められています。
不登校との関係
こども家庭庁の情報に不登校との直接的な言及はありませんが、家族の世話に多くの時間とエネルギーを割いていることが、学校生活との両立を難しくし、結果的に不登校や遅刻・早退につながることは十分に考えられます。「怠けている」「やる気がない」と見られがちな行き渋りの背景に、家庭内での役割の重さが隠れていることもあるため、学校や周囲が本人の家庭状況にも目を向けることが大切です。
きょうだいのケアをめぐる保護者側の悩みはきょうだい児ケアまとめでも扱っています。
よくある質問
Q. うちの子は家族の世話をしていますが、ヤングケアラーに該当するかどうか分かりません。
明確な時間数などの基準が法律に定められているわけではなく、「過度な」負担かどうかは個々の状況によります。「年齢や成長に見合わない責任を負っていないか」「学業や友人関係、心身の健康に影響が出ていないか」を目安に考えることができます。心配な場合は、学校や自治体の相談窓口にまず相談してみることをおすすめします。
Q. どこに相談すればいいですか?
こども家庭庁のヤングケアラー特設サイトで、相談窓口の情報が案内されています。学校のスクールソーシャルワーカーや、自治体の子育て支援窓口も相談先になります。
Q. 相談すると、家族から引き離されてしまうのではと心配です。
相談することが直ちに家族の分離につながるわけではありません。多くの場合、家庭全体を支える福祉サービスにつなぐことや、家族の負担を軽減する方法を一緒に考えることが目的です。心配な点は、相談の際に率直に伝えることができます。
相談先
- きょうだいのケアに関する悩みはきょうだい児ケアまとめ
- 相談先の全体像は不登校の相談先まとめ
- お住まいの自治体の窓口は自治体から相談先を探す