教育機会確保法文部科学省不登校対策

教育機会確保法とは?「休むことの必要性」を認めた法律の中身を解説

教育機会確保法(平成28年制定)は、不登校の子どもに「休養の必要性」があることを法律上初めて明確にした法律です。基本理念、多様な学びの場との関係、夜間中学との関係を公式情報をもとに解説します。

ふとうこうナビ編集部公開 編集方針

「学校を休むことは、決して悪いことではない」——そう法律で明確にされていることをご存じでしょうか。このサイトの複数の記事で触れている「教育機会確保法」について、まとまった解説を知りたい方向けに整理しました。

教育機会確保法とは

教育機会確保法とは、正式名称を「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(平成28年法律第105号)といい、平成28年(2016年)12月14日に公布、平成29年(2017年)2月14日に施行された法律です文部科学省)。不登校の児童生徒と、義務教育を修了できなかった人(義務教育未修了者)の両方を対象に、教育を受ける機会を確保することを目的としています。

制定の背景には、不登校児童生徒の増加と、戦後の混乱期などに生活困窮で就学できなかった義務教育未修了者が一定数存在するという実態がありました。

基本理念:「休むこと」を法律が認めた

この法律がとりわけ重要とされるのは、不登校の児童生徒に「休養の必要性」があることを、法律上初めて明確に位置づけた点です。

それまでの不登校対応は「学校に戻すこと」を暗黙の前提とする傾向がありましたが、この法律は次のような考え方を基本理念としています。

  • すべての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられる環境を整備すること
  • 不登校の児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の状況に応じた必要な支援を行うこと
  • 不登校の児童生徒の休養の必要性を踏まえ、その状況に応じた学習活動が行われるようにすること

「学校に行けない・行かない」ことそのものを問題視するのではなく、休むことも含めた多様な学びのあり方を尊重する、という国の基本姿勢がここに示されています。

この法律をもとに進められている施策

教育機会確保法の趣旨を具体化するため、平成29年3月には基本指針が示され、次のような施策が進められています。

  • 教育支援センター・学びの多様化学校(不登校特例校)の設置促進。 学校以外の多様な学びの場を自治体が整備することが求められています。詳しくは教育支援センター(適応指導教室)とは?学びの多様化学校(不登校特例校)とは?をご覧ください。
  • フリースクールなど民間施設との連携。 法律上、フリースクールでの学びが直接「出席」になるわけではありませんが、この法律の理念を背景に、在籍校と民間施設が連携する取り組みが位置づけられています。フリースクールの選び方はフリースクールの選び方まとめで解説しています。
  • 夜間中学(夜間中学校)の設置促進。 義務教育未修了者や、不登校を経験した人の学び直しの場として、自治体に夜間中学の設置が求められています。詳しくは夜間中学とは?をご覧ください。

より広い政策的な枠組みはCOCOLOプランとは?もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. この法律があれば、学校を休んでも欠席扱いにならないのですか?

いいえ、法律が定めているのは「休養の必要性」という基本的な考え方であり、出席・欠席の記録そのものを自動的に変えるものではありません。指導要録上の出席の取り扱いは別の文部科学省通知に基づき、在籍校の校長が個別に判断します。詳しくは教育支援センター(適応指導教室)とは?の出席扱いに関する説明もご覧ください。

Q. 学校の先生はこの法律を知っているのでしょうか?

教職員向けの研修や通知を通じて周知が図られていますが、認知度や運用の丁寧さには学校差があるのが実情です。もし学校の対応に疑問がある場合、「教育機会確保法の趣旨に基づいて相談したい」と伝えることで、話し合いの土台にできることがあります。

Q. 夜間中学とは何ですか?誰が通えますか?

夜間中学は、義務教育を修了できなかった人や、様々な事情で十分な教育を受けられなかった人(不登校を経験した人を含む)が、中学校の課程を学び直せる公立の学校です。年齢に関わらず入学でき、外国籍の人も対象です。設置状況は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの自治体の教育委員会にお問い合わせください。

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