お子さんが学校に行けなくなったとき、多くの保護者がまず感じるのは「うちだけなのではないか」という孤独感です。しかし実際には、note.comなどには不登校のお子さんを持つ保護者自身が書いたブログが数多く公開されており、そこに綴られている悩みは驚くほど共通しています。
この記事では、保護者自身が書いた体験ブログ約30本を実際に読み、繰り返し登場する悩みを4つのテーマに整理しました。文中の内容はいずれも各記事の要約(意訳)であり、原文はリンク先でお読みいただけます。
なお、こども家庭庁によると令和6年度の小中学校の不登校児童生徒数は約35.4万人で、12年連続の増加・過去最多です(こども家庭庁)。ここに挙げる悩みは、決して特別な家庭だけのものではありません。
① 初期の戸惑い:「理由がわからない」「休ませていいのか」
不登校の始まりの時期について書かれたブログで、もっとも多く登場するのが次の悩みです。
- 理由を聞いても「眠い」「めんどくさい」としか返ってこない。 本当の原因(人間関係の疲れ、不安、劣等感など)が見えず、怠けなのか苦しみなのか判断がつかない。
- 朝だけ動けなくなる子どもへの困惑。 前夜は「明日は行く」と言っていたのに、朝になると布団から出られない。腹痛・頭痛・涙などの身体症状を「甘えでは」と疑ってしまい、後からその対応を悔やむ保護者が多くいます。
- 「休ませたら休み癖がつくのでは」という恐れ。 無理に行かせるべきか休ませるべきかの判断基準がどこにもなく、毎朝が消耗戦になる。
- 感情を爆発させてしまった後の自己嫌悪。「休むなら早く言ってよ」と子どもに当たってしまい、夜に一人で反省会を繰り返す、という描写は複数のブログに共通していました。
小学1年生の登校しぶりを1年間振り返ったある母親のブログでは、「慣れれば行けるようになるはず」という思い込みで登校を促し続けた結果、親子関係も夫婦の足並みも崩れていった過程が率直に綴られています(小1登校渋りのふりかえり)。また、中学入学直後に突然行けなくなった息子を前に「母親として何もできない」と無力感に沈んだ日を記録したブログもあります(不登校だっていいんだよ)。
この段階の相談先としては、まず担任とスクールカウンセラーが入口になります。全体像は不登校の相談先まとめで整理しています。
参考にしたブログ(初期の悩み)
② 学習の遅れと進路:「この子の将来はどうなるのか」
不登校が続くにつれて大きくなっていくのが、学習と進路の不安です。
- 「遅れを取り戻せるのか」という不安。 タブレット教材や公文などを試しても子どもに合わず、試行錯誤が続く。「周りは当たり前に授業を受けて進学していくのに、うちは時間が止まったまま」という感覚を綴るブログが複数ありました。
- 内申点・出席日数・高校受験の心配。 中学での不登校期間が長いほど、「このままで高校に行けるのか」という不安が親子双方に重くのしかかります。ただし、その不安を苦しんでいる本人には話せない、というジレンマも共通しています。
- 進路の選択肢が多すぎて選べない。 通信制高校だけで100校以上あり、パンフレットだけでは実態がわからない。20校以上に資料請求し10回以上オープンキャンパスに通った父親の記録もあります(中3不登校がいかにして進路を決めたか)。
- 「普通の進路」以外を親が知らない。 通信制高校・フリースクール・教育支援センターといった選択肢について、必要になるまでまったく知らなかったという告白は多くのブログに共通します。
一方で、中1・中2をほぼ完全不登校で過ごしたお子さんが、全日制・定時制・通信制あわせて10校の見学を経て自分に合う高校を選べた、という前向きな記録もあります(不登校からの高校進学 全日制か通信制か)。進路の不安は「選択肢を具体的に知ること」で軽くなっていく、というのが複数のブログに共通する経験則です。
公的な学びの場については教育支援センター(適応指導教室)とは?で解説しています。
参考にしたブログ(学習・進路)
③ 親自身の生活と心:仕事・自責・孤立・夫婦の温度差
不登校のブログでもっとも切実なのが、保護者自身の生活と心についての記述です。
- 仕事を続けるか辞めるか。 朝の対応と学校連絡で仕事に集中できなくなり、退職や休職を選ぶ保護者が少なくありません。20年勤めた仕事を辞めた母親は、休職制度も時短勤務も介護休暇も「不登校対応」には使えなかったと制度の壁を記録しています(不登校の親が仕事を辞める決断をするまで)。一方、仕事を続ける選択をした母親も「この選択に後悔はしていない、とは言い切れない。いつも少し揺れている」と綴っており、どちらを選んでも葛藤が残るのがこの悩みの特徴です(仕事を辞めるべきか何度も考えた)。
- 「私の育て方が悪かったのか」という自責。 ほぼすべてのブログに登場する、もっとも普遍的な悩みです。厳しすぎたのか、甘やかしたのか、と過去を裁き続けてしまう。
- 周囲の目と評価の反転。 不登校になった途端、それまで褒められていた子育てが「手をかけすぎたから」と批判に変わる。ママ友や親戚の心ない言葉で「みんな敵」と感じるほど孤立した経験を書くブログが複数ありました。
- 夫婦間の温度差。「早く学校に戻すべき」という配偶者と「まず休ませたい」という自分との対立が、それまで穏やかだった夫婦関係の最初の危機になった、という記録があります(不登校で夫婦の意見が割れた)。
- 親自身のメンタル不調。 深刻なケースでは、布団から出られない・家事ができない状態に至った母親たちの姿も記録されています(不登校の母親達の苦しみ)。
不登校児童生徒の保護者を対象とした調査でも、多くの保護者が気分の落ち込みや孤独感を経験していることが報告されています。子どもの支援と同じくらい、親自身のケアと「話せる場所」が必要だというのが、当事者ブログから読み取れる一番のメッセージです。同じ立場の保護者とつながれる親の会については不登校の相談先まとめの「当事者コミュニティ」の項をご覧ください。
参考にしたブログ(親自身の悩み)
- 不登校の親|私の悩み② 仕事を辞めるべきか何度も考えた
- 不登校の親が仕事を辞める決断をするまで①使える制度は少ない
- 不登校で夫婦の意見が割れた①一番つらかった時期
- #16 理解されない孤独と、円の中の私たち
- 不登校の母親達の苦しみ
- 専業主婦になった不登校児の母は「働きたい病」なう
④ 学校・支援機関とのやりとり:「毎朝の欠席連絡がつらい」
学校や支援機関との関わりについても、共通する悩みがはっきり見えました。
- 毎朝の欠席連絡が苦行になる。 決まった時間帯に担任へ電話し続けることの負担は、複数のブログで「終わりの見えない苦行」と表現されています。連絡アプリ導入後も負担が減らなかったという記録がある一方、メール連絡への切り替えで楽になったという経験談もあり、連絡方法の変更を学校に相談する価値がうかがえます(毎日の欠席連絡は、ただの苦行だった)。
- スクールカウンセラーへの期待とのズレ。 親は「学校復帰」を期待して相談するが、カウンセラーの目標は「本人の自立支援」であることが多く、「寄り添って見守りましょう」で終わってしまい具体的な判断基準を得られなかった、という不満は複数のブログに共通します。一方で、「ただ話を聴いてもらえるだけで心が軽くなり、また頑張れた」という感謝の記録もあり(スクールカウンセラーさんに救われた日)、相性と期待値の設定が満足度を大きく左右するようです。
- 支援機関の情報が向こうからは来ない。 適応指導教室(教育支援センター)の存在を、不登校から2ヶ月近く経ってようやく知ったという記録があります(適応指導教室の見学に行った感想)。フリースクール等の情報も「全部自力で探すしかなかった」という声が複数ありました。
- 「迷惑をかけて申し訳ない」という遠慮。 個別対応をお願いすることへの気兼ねが相談の壁になっていた、という内面の記録もあります(「申し訳ない」の壁は「ありがとう」で扉に変わる)。
支援制度の情報が「待っていても届かない」ことは多くのブログが示す現実です。お住まいの自治体の教育支援センター・相談窓口の連絡先は自治体から相談先を探すにまとめていますので、自力で探す手間の一部はここで省いていただけます。
参考にしたブログ(学校・支援機関)
- 不登校の我が子と向き合う毎朝の戦い――欠席連絡に追い詰められる私
- 毎日の欠席連絡は、ただの苦行だった
- 【不登校】カウンセリングは効果あるの?私が出会った4人のスクールカウンセラーの話
- 不登校小学1年生 適応指導教室の見学に行った感想
- 子どもの「不登校」と親のつらさー支援者である私が当事者になって見えたものー
悩み別・相談先の目安
ブログに登場した悩みを、相談先に対応づけると次のようになります。
| よくある悩み | 相談先の目安 |
|---|---|
| 行き渋りが始まった・理由がわからない | 担任、スクールカウンセラー |
| 朝の身体症状が強い・心の状態が心配 | スクールカウンセラー、必要に応じて小児科・児童精神科 |
| 勉強の遅れ・居場所・出席扱い | 教育支援センター(適応指導教室)、フリースクール |
| 進路(高校受験・通信制) | 在籍校の進路指導、通信制高校の合同説明会 |
| 仕事との両立・家庭環境の悩み | スクールソーシャルワーカー、自治体の教育相談窓口 |
| 親自身の孤立感・つらさ | 親の会・NPO、自治体の教育相談 |
具体的な窓口の住所・電話番号は自治体から相談先を探すからご覧ください。
よくある質問
Q. 「うちだけが特別におかしいのでは」という気持ちが消えません。
約30本のブログを読んで見えてきたのは、初期の戸惑い・学習の遅れ・親自身の孤立・学校とのやりとりという悩みの型が、驚くほど多くの家庭で重なっているという事実です。感じ方や事情は家庭ごとに違っても、悩みの構造そのものは「あなただけ」ではありません。
Q. どの悩みから相談すればいいのか分かりません。優先順位はありますか?
まず「①朝の身体症状や心の状態が心配」を最優先に、次いで「②学習・進路」「③親自身の孤立感」「④学校とのやりとり」の順で考えると整理しやすいです。心身の安全に関わる悩みは早めにスクールカウンセラーや医療機関に、学習・進路の悩みは教育支援センター(適応指導教室)とは?を、親自身のつらさは親のセルフケアまとめを参考にしてください。
Q. 記事に出てくる保護者は、最終的にどうなったのでしょうか?
この記事は渦中の悩みを整理したものですが、その先の「関わり方が変わって回復に向かった」体験は不登校の子への親の対応まとめで、学校との具体的なやりとりの工夫は学校とのやりとりまとめで整理しています。あわせてご覧いただくと、悩みから次の一歩までの流れがつかみやすくなります。