場面緘黙かんもく不安障害

場面緘黙(かんもく)とは?「話さない」のではなく「話せない」子どもの不安障害

家庭では普通に話せるのに、学校など特定の場面では話せなくなる「場面緘黙」。本人の意思ではなく不安障害の一種であること、DSM-5の診断基準、不登校とのつながり、学校への伝え方をかんもくネットなどの情報をもとに解説します。

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「家では普通におしゃべりするのに、学校では一言も話さない」——そんな様子に気づいても、「人見知りが強いだけ」「そのうち慣れる」と見過ごされがちな状態があります。「場面緘黙(ばめんかんもく)」です。

場面緘黙とは

**場面緘黙とは、家庭では普通に話すことができるのに、幼稚園・保育園や学校などの社会的な場面では、声を出したり話したりできなくなる状態です。**もっとも大切なのは、**本人の意思で「話さない」のではなく、「話したくても話せない」**という点です(かんもくネット)。

不安障害の一種として位置づけられており、特に社交不安障害との関連が深いとされています。話せない場面は「場所」「人」「活動内容」の組み合わせに左右され、同じ学校でも特定の友人となら話せる、特定の授業でだけ話せない、といった濃淡があります。

診断基準(DSM-5-TR)

アメリカ精神医学会の診断基準では、おおむね次のような点が判断材料とされています。

  • 話すことが期待される特定の社会的状況(学校など)で、一貫して話すことができない
  • 家庭など、話せる場面が他に存在する
  • その状態が学業や対人コミュニケーションに支障を生じさせている
  • 症状が1か月以上継続している(就学直後の最初の1か月は除く)
  • 言語そのものの知識や能力の問題ではない
  • 自閉スペクトラム症や統合失調症など、他の障害ではうまく説明できない

どのくらいの頻度で起こるのか

調査によって幅がありますが、海外の調査では0.03〜1%程度、日本の大規模調査では0.21%という報告があります。発症は通常5歳未満で、幼稚園・保育園や小学校への入園・入学をきっかけに症状が明らかになることが多く、女児にやや多い傾向が指摘されています。

原因

単一の原因ではなく、複数の要因が関わっていると考えられています。

  • 不安になりやすい気質(生まれ持った特性)
  • 転園・転校・入学など、環境の変化
  • 神経発達の偏り(自閉スペクトラム症などとの併存)

**「厳しいしつけ」や「親の育て方」が原因ではありません。**本人にとっても「話せない」ことは苦しい体験であり、責める対応は逆効果になりやすいとされています。

不登校とのつながり

話せないことへの不安や、周囲から誤解されるつらさが積み重なり、学校に行くこと自体がストレスとなって不登校につながるケースがあります。**発話の問題は目に見えやすい一方、背景にある不安の強さは見過ごされがちです。**発達特性全般との重なりについては発達特性・グレーゾーンと不登校まとめ、感覚過敏など類似の「困りごとが伝わりにくい」特性については感覚過敏の子のためのグッズ・工夫まとめも参考になります。

学校でできる支援・伝え方

  • 保護者が最初の窓口になることが多い。 かんもくネットが公開しているリーフレット等の資料を持参し、担任やスクールカウンセラーに相談する方法が推奨されています。専門的な資料をもとに説明することで、「人見知り」「わがまま」として片づけられるのを防ぎやすくなります。
  • スモールステップでの発話場面の拡大。 無理に話させようとするのではなく、うなずきや筆談など「話す」以外の方法から始め、段階的に発話できる場面を広げていく「段階的エクスポージャー法」という考え方があります。
  • 合理的配慮の相談。 発表を筆記に代える、返事は挙手やジェスチャーでもよいとするなど、学校側との配慮の相談も選択肢です。合理的配慮の考え方は合理的配慮とは?(障害者差別解消法)で解説しています。

担任の理解が得られない場合、管理職(校長・教頭)に相談する、医師や専門機関から学校へ説明してもらうといった方法も検討されています。

よくある質問

Q. 「人見知りが激しいだけ」と言われました。場面緘黙とどう違うのですか?

一般的な人見知りは時間とともに和らぎますが、場面緘黙は特定の場面での「話せなさ」が1か月以上続き、学校生活に支障が出る点が異なります。気になる場合は、かかりつけの小児科や児童相談所、教育相談窓口に相談してみることをおすすめします。

Q. 家では普通に話すのに、なぜ学校では話せないのですか?

場面緘黙は「話す能力」の問題ではなく、特定の社会的場面における強い不安が発話を妨げているためです。本人の意思でコントロールできるものではありません。

Q. 無理に話させようとするのは逆効果ですか?

はい。無理に話させようとする働きかけは、本人の不安をさらに強め、症状を悪化させる場合があります。話す以外の方法(うなずき・筆談など)を認めながら、スモールステップで発話場面を広げていく対応が推奨されています。

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